膝の痛みは、腰痛と同様、「2本足で立つようになった人間の宿命」ともいわれています。4本足から2本足になれば、単純に考えても2倍の負担がかかるわけですが、膝への負担はそれだけではありません。実際には歩くだけで、膝には体重の4倍、階段ののぼり下りには7倍もの圧力がかかります。
しかも膝は屈伸したり、走るのを止めるなどストッパーの役割もします。
こうした動きに対応している膝は、ただでさえ負担が大きいのに、膝関節を守る筋肉は股関節などにくらべるとほんのわずかしかありません。ですから、スポーツによる酷使や老化などで、痛みがでやすいのです。
膝のあたりには、大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨という4つの骨があります。このなかで、膝の関節の中心は、俗に膝のお皿といっている膝蓋骨です。膝蓋骨は、お皿逆さにしたような形をしています。上部は大腿四頭筋に、左右は靭帯で大腿四頭筋とつながり、下部はやはり靭帯によって脛骨とつながっています。
この膝蓋骨は膝を曲げるときよりも、伸ばすときに役立っています。膝を伸ばすときは、大腿四頭筋が縮んで脛骨を引っぱり、足をまっすぐにします。このとき、膝蓋骨は大腿骨の上をすべって、伸ばす働きを助けています。
|
しかし、膝蓋骨の裏側は軟骨でおおわれているため、激しいスポーツなどをすると、損傷を起こしやすいところです。
膝膝はまともに体重を受けるところです。機械と同じで長年使えばすりきれてきます。中高年になれば程度差こそあれ、誰にでもおこります。とくに太り気味に女性は要注意。最初は正座したあとに立ち上がったり、階段をのぼり下りするときの痛みからはじまり、また長く歩いたあとに起きます。痛みは歩きはじめや、長く歩いたあとに起き、膝に熱をもったり、水がたまることもあります。 |
年をとると、骨の関節面をおおっている軟骨に弾力がなくなってきます。そこに圧力がかかると、だんだん軟骨がすり減ってきて、骨が露出してきます。そして今度は骨と骨がこすれ合うようになると、関節包の内側の滑膜に炎症が起き、痛んだり、水がたまったりします。これを変形性膝関節症といいます。
また、骨はすり減ると同時に、異常な増殖を起こし、これがトゲのような骨の変形(骨棘)を起こします。はがれた軟骨が関節のあいだにはさまって痛みを起こすこともあります。これを関節鼠と呼んでいます。
しかし、こうした変形は年をとるとほとんどの人にみられるものですが、すべての人が痛みを起こすわけではありません。
患部の温熱療法を行ったり、運動療法(温水プールに入って歩く、自転車をこいだりする)で筋肉を丈夫にして治していきます。膝への負担を軽くするためには、肥満解消も忘れてはいけません。
治療法で話題になっているのは、膝の軟骨と同じ成分のヒアルロン酸(軟骨保護薬)を関節に注射して、軟骨の”再生”をはかる方法です。また、人工関節を埋め込んだりする手術もあります。
しかし、膝への負担を軽くする筋力をつけるなどで予防することも大切です。
|